こんにちは、こーんです。
木枯らし1号が吹きまして朝晩が寒くなりました。
秋も間もなく冬になろうかというところでしょうか。
秋といえば芸術の秋。
秋の夜長はぜひ映画をたのしみましょう。
町山さんの書いた「今のアメリカがわかる映画100本」を読んでます。
前回に続きAmazonプライムとHuluで作品を探しながら。
なかなかすぐに観れる作品が無いので読んでは諦め、読んでは諦めが続いてますが。
今回は無事にAmazonプライムでクリント・イーストウッド主演監督の「グラン・トリノ」を観ることができました。
プライム会員の方は是非観てみてください。
結論から言えばとても良い話でした。
以下一部ネタバレを含むのでこれから鑑賞されるかたはご注意を。
なるたけ本筋には触れないようにしますが。
今のアメリカがわかる。
わたしは40を過ぎた中年ですが昔のことなんてほとんど何にも憶えてません。
確か産まれた頃はベトナム戦争やオイルショックの時代ですが子どもにとって世界情勢なんて記憶にないわけです。
80年代半ばぐらいの記憶ならおぼろげにあるかなぐらいです。
なので今を知るというより過去を知ることで今をよく知るという映画がとても興味深く観ることができます。
この映画も朝鮮戦争で兵士として戦った男と、ベトナム戦争でアメリカと一緒に戦った亡命移民となったモン族の青年との話です。
映画を純粋に楽しむなら何も頭に入れないで鑑賞するのが良いと思うのですが、基本的な背景などこの時点の設定で最初から知識を入れていかないとアメリカ人よりたくさん登場するほとんど英語の話せないアジア人が出てくるの映画なのでハテナ?となってしまいます。
なのでこの本が面白いんですよね。
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: サイゾー
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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映画の背景的な基礎知識であったり役者や監督、時代背景や事件事故など作品を深く知るための、また知らないと見えてこないシーンなど視点を変えて観れるのが好きです。
いつも思うのですが映画ってノンフィクション作品もありますけど大半が作り物ですよね。
つまり役者さんがスクリーンの中で演じているのを眺めているに過ぎないわけで、相撲を伝統的な国技としてみるか、デブの裸祭りとしてみるか物の見方な訳ですが、映画には町山さんの映画論のテーマとなっているように伏線的なお話つまりどうして今この映画が撮られたのかという視点が面白いんですよね。
なぜマワシを巻くのか、塩を撒くのか、土俵入りとはといったモノゴトの理由を知ることで何倍も面白く観ることができます。
クリントイーストウッドがいい!
相変わらず終始苦虫を噛み潰したような声と言い回しで演技じゃなくて素でしょ?って感じの退役軍人の老人なんですが、まあ観てると「近頃どうかしてるぜ!」と思わず言いたくなるような出来事が続きます。
いちいち腹をたてるポーランド移民のクリントイーストウッド演じるウォルト・コワルスキーは誰のことも受け入れません。
息子たちも孫たちも。
退役後50年間フォードの自動車工場で働いて育てた息子はトヨタのセールスマンをしている。
孫たちは汚い言葉は使うは葬式にヘソ出しの服でくるわ私利私欲しかなく全く気に入らないわけです。
そんなウォルトの宝物はグラン・トリノ。
タイトルとなったグラン・トリノとはフォードの車種、フォード・トリノのうち、 1972年から1976年に生産されたものを指す。
これがカッチョいい。
男なら誰もが憧れる男らしいクルマですね。
マスタングも好きですけどいかにもアメ車って感じの風貌がいいですよね。
クーペがまたいい。
息子はランクルに乗ってましたね。
ちなみうちはステップワゴンです。
子どもたちが独立したら2シーターかクーペが良いなと思っているのですがね。
若者はクルマ離れのようですね。
Uberが目指しているカーシェアリングが当たり前になれば自分で運転するような時代では無くなるでしょうけどね。
このグラン・トリノ。
ほとんどこのクルマは出てきません。
要所を飾るというか男らしさ古き良きアメリカの象徴として物言わぬ存在感がこの物語での役割。
孫娘が車を欲しがったりモン族のギャング団に盗まれそうになったりするのですがはたしてこの車の運命は最後に分かることなります。
まぁ観てるとクリント・イーストウッドが可哀想でもあり、憎たらしくもあるんですがなかなかいい味だしてますよ。
なんでも自分からこの役が気に入って演じたそうですね。
世代と人種を超えた友情の物語。
コワルスキーの隣にモン族のタオ一家が引っ越してくるのですが、しっかり者の姉に較べて意気地なしの弟タオは女の子を誘ったり喧嘩をする勇気も無い弱虫なんですが従兄弟のギャングにずっと誘われているのを断るんです。
ある日コワルスキーのグラン・トリノを盗めというテストを課せられるのですが失敗します。
それが家族にバレて罪を償うためにコワルスキーの家事を手伝わされることになります。
しっかりものの姉に比べてタオの弱虫な性格が気に食わず最初はタオを遠ざけますが次第にタオに男とは何かを伝えていきます。
タオは一歩前に進む勇気がなかっただけで本当は男らしい少年だったんですよね。
次第にコワルスキーと過ごす時間が増えるにつれ二人の間に友情が芽生えていきます。
といっても年の差もあって見えない友情ですが。
いまのアメリカがわかる。
舞台はミシガン州なのですが分かります?ミシガン。
首都はそうデトロイトです。
つまりかつてはフォードが栄えた自動車製造の町です。
いまとなってはすっかり廃れてしまった、日本でいうとなんていうのでしょうか炭鉱の町のような抜け殻となってしまったような場所です。
日本に住むわたしたちにはいまいち感情移入しにくいのですがアメリカっていうのはとても広いし地元の狭いコミュニティの中でいかに生きていくのかとても考えさせられる映画って多いですよね。
ダーティ・ハリーシリーズもそうですがアメリカのとある町の風景や生活様式が見られる映画って好きなんですよね。
この映画も本のテーマもそうなんですがいまのアメリカを知るうえのに映画ってものすごくわかりやすいですよ。
SFものだと少し分かりづらいですがヒューマンドラマだとこのドキュメンタリーのようなリアルな風景がいいんですよ。
こんなに不良ばっかりうろついた町なのかなといつも思いますけどね・・。
わたしも以前カナダに住んでるときですが強盗にあったことがあります。
ほんと日本とはまったく治安が違うのですよ。
危険なところとか空気感でわかりますもんね・・。あ、まずいかもって。
逆に日本ってホント安全でいいなと思います。
コワルスキーが最後にとった選択とは。
映画のクライマックスですがコワルスキーが自分の性格から災いを招いてしまいます。
そして彼はある選択をします。
これは映画の最後のキーなのでネタバレになりますので細かくはいいませんが、最後に彼の人生観や想い、寂しさがフラッシュバックのように通り過ぎていきます。
そして最後に彼がとった選択はとても彼らしく素敵でした。
あの状況を考えると確かにそれしかなかったと思います。
ああ、いいたいけどいえない。
実際に映画を観てみてくださいね。
オトンは思った。
映画っていい作品に出会うといろいろと考えさせられますし自分の人生観にもいろいろと影響を与えることも多いですよね。
人の人生を垣間見たり、異国の文化や環境を見ることで逆に自分のおかれた境遇であったり考え方だったりとても心に響きます。
SFXや娯楽映画もいいですが観終わった後にいろいろと考えさせられる映画が好きですね。
「グラン・トリノ」もそんな作品でした。
是非観てみてください。
では!
(こ)