こんにちは、こーんです。
ただいま読書中の町山智浩さんの著書「今のアメリカがわかる映画100本」からHuluでマイケル・キートンが出演している「スポットライト 世紀のスクープ」を観ました。

- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: サイゾー
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (5件) を見る
マイケル・キートンて「バードマン」で観たんですがずっと昔からあのジャック・ニコルソンがジョーカー役で出ている最初の「バットマン」に出てた人なんですね。
あまり役者に詳しくないので知らなかったんですが今は渋いおじさん役が似合いますよね。
カトリック信者の多いボストンを舞台とした世紀のスクープ。
わたしには馴染みがないのですがアメリカというと敬けんなクリスチャンが多く土曜日といえば教会に通い学校にも神父さんがいるといったカトリックの文化が根付いていて宗教コミュニティのみならず政治や法曹界にも大きな影響力を持っているようです。
もちろんそれはいわばカトリックコミュニティのヒエラルキーによるもの。
多国籍でもあり移民国家でもアメリカの特徴でもあると思います。
マサチューセッツ州ボストンはアイルランド系アメリカ人が多くカトリック信者が多い町として知られているそうです。
舞台はそんなボストンの新聞社「ボストン・グローブ」の「スポットライト」という歴史ある取材を中心とした特集記事を担当する記者たちの奮闘劇です。
日本だと新聞社の影響力があまり大きくないので週刊文春みたいなものですかね。
文春砲ならぬスポットライト砲を撃つべく日夜奔走しているある日、新しい編集長のバロンがフロリダからやってきます。
ユダヤ系アメリカ人でありボストン市民からすると「よそ者」として扱われます。
バロンは神父による性的虐待(ジョン・ゲーガン事件)について報じた事件を掘り下げるようスポットライトの記者たちに命じます。
アウトサイダーの視点。
バロンはボストン・グローブがニューヨーク・タイムズと経営統合したためタイムスから送り込まれた新編集長だったので家柄だけではなく同業者ながら外部からきたいわばアウトサイダーでした。
地方紙の記者の多くは地元出身者が多く地元のことを熟知していながらそれが仇となってことの重大さに気づかず見落としていることがあるということをバロンは教えてくれます。
それは決して言葉で伝えるのではなく教区司祭(または神父という。カトリックでは牧師といわないよう。牧師はプロテスタントの指導者のことらしい。ムズい・・・。)のネタを掘り下げることを指示されたマイケル・キートンたちがだんだんと気付かされるのです。
ボストン・グローブのスポットライトの記者はいずれもカトリック信者で子供の頃から教会に通うのが普通でした。
しかしいつしか教会に行かなくなります。
これもアメリカらしいところなのかもしれませんが大人になると皆が皆カトリック信者というわけでもなく自由な生き方を選択するのですね。
ジャーナリストだとなおさらかもしれません。
そしていつしか地域や自らの学生時代に常にコミュニティの中心にあったカトリック教会に疑問を抱いていくようになるのでした。
機能していない宗教観。
日本人の多くは無神論者というか自由主義者ですよね。
正月は初詣に行き、節分で豆をまいてバレンタインのチョコをもらってハロウィンで仮装してクリスマスケーキを食べてお寺の除夜の鐘を聴く。
日本における神は一神教ではないので物にも神が宿りますし、山の神、海の神、田んぼの神どこにでも神があるわけで神か仏かまぁなんでもありとしか思えないわけですが精神性というか個人が習わしや規律を重んじたり、その存在を偲ぶことで生活の一部としているというところでしょうか。
ところがこの映画に出てくる人物は幼いころから教会組織を中心としたコミュニティに属して人間関係を保ちながら現代に生きている。
わたしからするとちょっとよくわからないのですが、決して逆らえない存在として象徴的に描かれます。
そのいわば上位職である教区司祭が特に貧困層の子どもたちに虐待をしているという事件をきっかけにその全貌を暴くという事実に基づく物語です。
神父が子供に性的虐待をする。
もうそこに宗教観はまったくありません。
立場を利用したセクハラいやパワハラです。
そしてボストン・グローブのスポットライトの記者たちも容疑者の中にかつての高校時代の先生を見つけて、自分は運が良くて狙われなかっただけだと思い知ります。
見えざる力と真実そして。
わたしは最近町山さんの映画評論の本を読んでから映画を観ています。
なので、映画そのもののストーリーは見る前にある程度分かっています。
もちろんそこは娯楽としてネタバレのない程度の解説ですが、非常に興味深いのは事実に基づいた話であったり今のアメリカの思想を象徴するまさに現在進行系のアメリカという国を映画を通して知ることができる面白さに最近とくに惹かれています。
なぜこの映画が今撮られたのか。
いつも町山さんの紹介する映画にはこのキーワードがあります。
2pacやエミネムじゃないですが時代を象徴する音楽やメッセージ。
日本人にはただのラップや娯楽映画やフィクションにしか映らない物語の背景にいろんなメッセージが込められていてとくに文化のるつぼであるアメリカの魅力を映画を通して知ることができます。
この映画も事実に基づいた事件をテーマにしていますが、事件の異常性以上に日常に隠れたタブーや矛盾からいろんな気づきを与えてくれるそんな映画でした。
そして自らの心の声に突き動かされた記者たちやタブーを公にする新聞社の正義の鉄鎚によっていまなお揺れ動く現代社会の影を知る興味深い映画でした。
こういう映画って普通に出会えないですよ。
まず観ようと思いませんから。
楽しい映画やSFXなどのファンタジーのほうが観てスッキリしますしね。
こういった予期せぬ映画に出会えるのもHuluの良さかもしれませんね。
大きなオチがあるようなストーリー仕立ての映画ではありませんが観てよかったなと思える映画でした。
アメリカ恐るべし。