こんにちは、こーんです。
町山智浩さんの著書「今のアメリカがわかる映画100本」からHuluで見つかった作品にただいまハマり中です。
映画や小説って観るきっかけがないとなかなか書店で簡単に手にとって読もうなどと思いませんし映画も約2時間腰を据えて鑑賞するにはヒトを観たいとその気にさせるのはなかなか難しいものです。
そういった意味でもこういう切り口で映画を紹介してくれる本書はとても助かります。
そして自分なら選ぶこともないであろう作品と出会えるのも楽しいんですよ。
FBIを作った男たちの話。
FBIと聞くとトレンチコートを着た特別捜査官のイメージ。
またはXファイルですかね。
FBIて司法省の組織なんですね。
知ってました?
アメリカてこういった特別機関がよく出てきますよね。
たとえばNSAは国防総省の諜報機関。CIAは大統領直下の情報機関といった感じで。
物語はFBIがまだ存在していなかった時代の話です。
よく刑事ドラマでも管轄で揉めるシーンがありますよね。
例えばカリフォルニア州で事件をおこして隣のワシントン州に逃げれば管轄外なのでカルフォルニア警察は追って来れないんですね。
そんな州を跨いだ広域の捜査や容疑者の身柄拘束を実現したのがFBI(連邦捜査局)でした。
その組織を作ったのが若干29歳のJ・エドガーでした。
その若さにびっくりです。
この映画はエドガーがFBIを作ってから死ぬまで長官を務めたFBIの話です。
エドガーは頭脳は優秀だがマザコンで変わり者。
エドガーは母親と2人暮らし。
根は内気で人前で話をすることが本当は苦手だったようです。ダンスも踊れないしタバコを母親から勧められる始末。
ちょっと男らしさに欠ける人物でした。
しかし正義感が強く頭がキレ決めたことに関しては頑固な性格。決して器用ではないのですが頭脳が優秀でした。
図書館のブックカードを考案したり情報を集め整理して活かす強い思想を持っていました。
その考えを国民を危険から守るために国民を番号で管理するIDカードを考えたり、最初の科学捜査のきっかけとなった全米の犯罪者の指紋を集めてデータベースを構築するといった法案をどんどんと作っていきます。
そこは司法省直下ですから法から縛るのは得意だったことでしょう。
当時の司法省は汚職にまみれていました。
愛国心と忠誠心に欠けた組織に改革が求められていたのです。
そして当時29歳のエドガーは局長代行のポジションに任命され大きな裁量を得たことで改革に乗り出していきます。
リンドバーグ事件。
飛行機で大西洋を単独横断飛行して時の人となったリンドバーグ。
そのリンドバーグのまだ赤ん坊だった息子が誘拐されます。
その犯人逮捕にエドガーたちFBI式の科学捜査が身を結びます。
しかし今となっては本当に正しい捜査であったのか、証拠に乏しく科学捜査の事例を強引に作り誇示するだけが目的で逮捕られた青年については冤罪事件だったのではないかというのが有力なようです。
エドガーの片腕。
エドガーは本当にひとりでは自分に自信がなく情緒不安定な性格でした。
FBIエージェントの面接にある青年がやってきます。
学歴、顔、育ちの良さ、愛国心すべて問題はないどころか自信家で他にも就職先はいくらでもあるといった自信を持っているツワモノでした。
名前はクライド・トルソン。
エドガーが死ぬまで勤めあげたFBI長官をトルソンも同じく副長官のいちで側で支え続けました。
これだけ聞いてもFBIがいかに特殊な組織であったのか。そして独裁的な組織であったかが分かりますね。
しかし、トルソンが死ぬまでエドガーの側にいることができたのは彼がゲイだったからでした。
映画の中ではエドガーはゲイとして描かれていませんが彼もゲイだったという話です。
ただスクリーンの中の彼は自信家で頭脳明晰なトルソンが側にいることで自分の自信を得ることができる唯一無二な存在でした。
家では母親、仕事ではトルソンに支えされてエドガーは生きていました。
アメリカの秘密を握った男。
エドガーがFBIを立ち上げたときはアメリカでも共産主義者やギャングよるテロや暴動が起き反社会的で情勢不安な時代でした。
FBIが活躍するうらでその特権を活かし歴代大統領や家族の秘密を握っていきます。
エドガーが長い間この地位に君臨できたのはエドガーが所有する秘密がバラされると困る人たちの存在でした。
日本官僚などもときどき話題になりますが、大臣や総理のポストは選挙でコロコロと変わるわけで最高権限を持っているのは大臣ですが、実効支配をしているのは官僚たちな訳です。
ましてや秘密まで握られていると為す術もありません。
FBIがどれだけアメリカを救ってきたのか専門家では無いので知りませんが腐敗した警察組織や反社会的勢力にたいして執拗なまでに盗聴やあらゆる容疑や証拠を集めて動き国家の安定を保つために存在していたであろう組織ですが、ちょっと変わった長官と副長官に支配されていたんですね。
結局のところ。
事実にもとづいた人物の映画でありましたので物語としてオチがあるわけでもなくFBIを作った男の生涯を描いた映画というだけでした。
監督はあのクリント・イーストウッド。
こんな映画も撮るんですね。
イーストウッドといえば前回みた「グラン・トリノ」や「ミリオンダラー・ベイビー」などもそうでしたが「人に歴史あり」といった人物にスポットを当てた映画がすきなんですね。
主演のエドガー役はレオナルド・デカプリオというめずらしい組み合わせでした。
この作品を観て心に響くものは特にありませんでしたが、そうやってFBIができたのかといった理由が知れたりいまのアメリカを語るうえで知っておくべき作品としてはなるほどと思える映画でしたね。
こうやって誰かが作品として残すといったことで知らなかったことを知ることができるというのも映画の魅力なのかもしれませんね。
ビデオレンタル屋で絶対借りないと思いますけど、町山さんの本とHuluのおかげで観ることができました。
面白いだけでは映画は語れませんね。
観たか観てないかで政治情勢や国の特徴を知ることができるそんな作品です。
ぜひ機会があったら観てみてください。