こんにちは、こーんです。
町山智浩さんの著書「今のアメリカがわかる映画100本」からHuluであの黒人初のメジャーリーガー「ジャッキー・ロビンソン」の半生を描いた「42」を観ました。
その男の背番号は42。
戦後の1945年いまから70年前のアメリカが舞台。
まだついこの間のお話です。
当時はまだ白人の大リーガーしかいなかった時代です。
アメリカのプロスポーツでいまや黒人選手がいない競技なんてないと思うのですが、ゴルフやアイスホッケー、競泳などは極端に少ないですかね。
ドジャーズがブルックリン・ドジャーズと名乗ってたころ、オーナーのハン・ソロもといハリソン・フォードはニグロリーグ(黒人リーグ)の選手を来期から3A(メジャーリーグの下部リーグ)のチームに入れると言い出します。
まぁ冒頭からこの作品はアメリカの人種差別問題を描いたものなんだなというのが明らかなわけですが日本人のわたしからすると信じられない話ばかり。
乗り物の場所やトイレなど白人と黒人で別れていたなど、つい数十年前までアメリカではそれが当たり前だったんですね。
身分格差があったのは日本も同様ですが江戸時代の話ですよね。
アメリカでは奴隷をアフリカから連れてきて働かせていたのもその頃からですが日本は明治維新により民主化したのにアメリカでは身分制度がずっと続いていたんですね。
日本と違うのは人種の違いですから単民族国家のわたしたちにはよくわかりませんが。
オーナーの狙いは明らかだった。
大リーグから差別を無くすためどんなに批判や野次を受けようとも耐えることができ、素晴らしいプレーができる若くてタフな黒人選手を探していたところジャッキー・ロビンソンを見つけます。
モハメド・アリのような自信家いや、アリは70年代のボクサーですからジャッキーはまさにアメリカのスポーツ界を切り拓いた先駆者ですね。
オーナーはそんなジャッキーに何を言われてもとにかく「我慢して耐えろ」と伝えます。
反感を買うのではなく同情でもなく憧れを抱かせるような選手にそして球界の差別撤廃を目論んでいました。
相手チーム、観客そして味方チームの選手からも嫌われる訳ですが肌の色の違いだけで酷いなぁと観ててツライところが幾度となくあります。
肌の色といえば日本人のような黄色人種は出てきませんでしたが戦時中は敵国として在米日本人は収容所に拘留されてましたね。
先日観た「J・エドガー」のように偏った思想や独断で物事が進んでいく怖い時代でもありますし今のトランプ政権も問題発言に注目が集まっていますが多民族国家でありながら背景には支配と入植の歴史が色濃く残ってるんですね。
仲間からも嫌われてしまうが…。
当時のアメリカの人種差別はひどいものでした。チームメイトからも一緒プレーしたくない、同じシャワーを使うのは嫌だと避けられてしまいます。
そしてある日相手チームの監督からとんでもない罵声を浴びせられるんですね。
野球に野次はつきものだったりしますがそれにしても酷い罵声。それについに味方のチームメイトが抗議します。
同じチームメイトが我慢し一方的にやられている訳ですからただ傍観するなんて漢じゃありません。
そしてついにチームの一員として受け入られていきます。だってチームはジャッキーの活躍もあってシリーズを勝っていたのですから。
そしてメジャーへ。
3Aでのシーズンを過ごしていよいよメジャーに挑戦する時がやってきます。
チームはもちろんハリソン・フォードがオーナーのブルックリンドジャーズ。
そしてついに黒人初のメジャーリーガーになるのですがジャッキーへの世間の風当たりは3Aの頃より大きいものでした。
ホテルには泊めてもらえないし、観客席も白人と黒人で別々。声援と野次はが一緒に飛んでくる何とも惨めな状況。
そしてジャッキーは圧倒的なプレーで観客を次々に黙らせていくのです。
そこには黒人ではなく1人の名野球プレーヤーがいることを観客の目に刻み込んでいくのでした。
シーズン終盤にオーナーとベンチ裏で話をする場面があります。
「何故わたしをメジャーによんだのか?」
当時は黒人だけのニグロリーグとメジャーは全く相入れない状態のところに風穴を開けたわけです。
ジャッキーの野球選手としての資質も凄いですがそれを見抜いていたオーナーの目も凄いわけです。
ただなぜメジャーに呼んだのか。
話題作り?ビジネスとして黒人の観客を取り込みたかったのか?
その答えは映画で見てみてくださいね。
4月15日はジャッキー・ロビンソンDAY。
ジャッキーの背番号42は彼の功績を称え全球団の永久欠番となっていて、ジャッキーが初めてメジャーのグラウンドに立った1947年4月15日を記念日として全球団の選手が同じ背番号42をつけて試合をする「ジャッキー・ロビンソンDAY」としてイベントになっています。
いかにもアメリカらしいですね。
ロス暴動だっりトランプ政権の騒動であったり警察官の黒人射殺事件だったりまだまだ人種差別問題が解決したとはいえません。
しかし毎年こうしてジャッキー・ロビンソンDAYを祝うことで人種差別の愚かさや同じ地区や国のなかでいがみ合う虚しさを感じることがオーナーが残したメッセージなんだと感じました。
わたしたちは人種で揉めることはないですが些細なことでいがみ合ったりしてませんか?
ジャッキーに比べたらホントくだらないのでやめましょう。そうです彼に見習ってひとつ成長してみませんか。
そんな気持ちにさせる作品でした。