町山智浩さんの著書「今のアメリカがわかる映画100本」からHuluでギャングと警察との抗争を描いた「エンド・オブ・ウォッチ」を鑑賞しました。
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: サイゾー
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ギャングとパッと聞くとトレンチコートにシルクハット姿の映画「アンタッチャブル」を思わせるのですが、現代のギャングカルチャーの中心はアメリカロサンゼルスのサウスセントラル地区に由来しているといわれます。
サウスセントラル地区における人種構成はアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系が大半を占める。白人はたったの2%という濃いエリアなんですね。
アイスTやアイスキューブなどギャングスターラップが生まれたのもこのサウスセントラル地区ですね。
10代の友達がギャングに手を染めていく日常をを描いた映画「Boyz N The Hood」を思い出しました。
「エンド・オブ・ウォッチ」はそんなギャングスタームービーの逆の立場から描いた作品ともいえる映画です。
制服警官を描いた作品。
ギャング映画は色々あれど制服警官を描いた作品はわたしの中では記憶に無くポリスアカデミーぐらいのもの。
本作では2人のLAPD(ロサンゼルス警察)の警察官の日常を描いたドキュメンタリー風の作品となっています。
アメリカといえば古くはベトナムや中東など今でも国外でずっと戦争していますが、国内それも大都市ロサンゼルスの極めて狭いエリアでギャング同士の銃撃戦が日常行われているとか、強盗や殺人、麻薬といった凶悪犯罪が頻繁に起こっているなんてことが信じられないです。
こんなところに住んでると平和とか平穏とかないんだろうなと。
日常がそのまま映画になるぐらいヤバいとこなんですね。先進国でありながらも人種や宗教などで事件が起きてしまう日本人には理解できないところが多民族国家アメリカのアメリカらしいところです。
警察になりたくないなぁ。
刑事ものでもそうですがアメリカの警察官だけにはなりたくないですよね。いつ殺されるかも分かりませんよ。
一般市民がKマートで銃を買うような国ですからね。いつも銃乱射事件がおきても結局銃規制は行われずに終わりますし今後も無くなることは当分無さそうです。
銃が悪いわけではなく犯人が悪いのはもっともなんですけど人を撃たなくても暴発事故だったり、自殺だったりと怖いわけです。
しかし、あらゆる恐怖にさらされている国だと自分の身は自分で守るしかないのかなというのは考えさせられますね。
本編では勇敢な警察官の2人が警ら中に起こる事件現場での奮闘が描かれていきます。
銃もそうですが必ずといっていいほど裏にはドラッグの存在があって、麻薬、金、暴力が交差していきます。
引き込まれる描写と不安感。
主人公自らいつもハンディカメラやウエラブルカメラを手に仕事の様子を撮っていきます。
そのかいあって映像が本人のカメラに切り替わると観ている側も警らに参加しているかのような3人目の警官気分になます。
話が進むにつれてギャングそしてその裏で暗躍するマフィアが関係する事件に巻き込まれていきます。
ネタバレになるとあれなのでここまでに。
雲が晴れることはないのか?虚しさだけが残る。
憎しみは悲しみしか生まない戦争映画であるようなそんな気分になる作品でした。
まぁ見る前からそうなんだろうなというのは分かるのですが負のスパイラルから抜け出せないアメリカ社会や人種問題など考えさせられました。
日本人でよかった。
娯楽映画とはいえないかもしれませんが、アメリカのいまを知るということで観てもよいと思う作品です。
決してスッキリはしませんけどね。
また本書からHulu作品を観て感想を書きたいと思います。