こんにちは、こーんです。
通勤時間はもっぱらブログを書いているのですが記事が早く書きおわったときは決まってHuluとAmazonプライムで映画を観るようにしています。
ただひとくちに映画を観るといっても新作には心惹かれますが過去の作品を何から観ようか悩みます。
お気に入りの役者さんをキーに観るもよし、ホラーやアクション、SFといったジャンルで観るもよしですが、町山智浩さんの著書「今のアメリカがわかる映画100本」を参考にアメリカを知ることができる作品とレビューを参考に映画を観るのが楽しいので今はこれにはまってますね。
そんななか今回はHuluで「大統領の執事の涙」を鑑賞しました。
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: サイゾー
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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黒人奴隷が大統領の給仕係になるまで。
大統領の執事てどうやってなるでしょうね。
最初に興味が湧いたのはそこでした。
主人公の少年は南部に住む黒人奴隷でしたお父さんもお母さんも同じ綿花農園で白人の地主に仕えて働く奴隷。
このシチュエーションはよく色んな映画で描かれていると思いますがアメリカの決して消せない過去の記憶ですね。
アメリカって先進国ではありますが歴史が浅く奴隷や多くの移民に支えられた経済の上に成り立っていてる開拓の国なんですよね。こういう歴史があって人種差別なども根強く残っていたわけですが今でも話題として絶えませんよね。
主人公は農園である事件をきっかけに畑仕事から給仕係の仕事をされられることになります。これがきっかけとなってその後農園から逃げ出して外の世界に飛び出していきます。
ああ、フォレスト・ガンプなのか。
この映画観ていると段々と変な気分になってきます。
歴代大統領やキング牧師などアメリカの歴史をなぞっていくんですね。
それで観ているとあれ?アラバマ州の農園から始まって歴史に翻弄されていくこの感じはあの「フォレスト・ガンプ」と同じ感じ。
そう時代はフォレスト・ガンプと殆ど変わらないですし歴代大統領や政治的指導者が要所で現れるところなども非常によく似ています。
つまり、黒人側からの視点で描いた「フォレスト・ガンプ」なんだなとそういった背景で描かれた作品ですね。
「フォレスト・ガンプ」だとババってエビがとにかく好きな黒人がでてきて一緒にベトナム戦争での戦友でしたね。
あれはたしかに白人視点の作品だなとこの作品を観るととくに対照的に思えました。
あれれ?デジャブだな。
映画の最初の10分であれ?あれ??って思うところがあります。
主人公のお母さん役が見たことある人がでてくるんですよ。
実はマライヤ・キャリーなんですね。
黒人役として出てきます。
あとからホワイトハウスの執事仲間にレニー・クラヴィッツもでてくるのですが、このキャスティングって先日みた「プレシャス」と同じだなぁと。
その作品でマライヤ・キャリーは白人として出てきますが、本作では黒人役です。
過去にインタビューでて観ましたけど黒人の血が流れてるといってましたし、多少違和感はあるのですが。白人とのハーフという設定かもしれないですね。
レニー・クラヴィッツもあまり黒人ってイメージないですけどね。
ホワイトハウスの内側という興味深い視点が面白い。
この映画の主人公のモデルになった人はいるようなのですが、実際に本人の史実にもとづいて作られているわけでは無いようなのであくまでもフィクションではありますがホワイトハウスの給仕係や洗濯係やお掃除係まですべて黒人が従事していたとは思ってもみませんでした。
これもひとつは差別の歴史であると思うのですが給仕係や使用人はもともと身分が低いとされていた人種で分けられていたんですね。
映画の中でも給与を白人と同じようにあげて欲しい、役職など裁量を与えてくれるよう嘆願する場面がでてきます。
これが映画中ずっと続くのですが、黒人の人権がやっと認められてきてようやくあげてもらえるのですがホワイトハウスの中であってもそんな感じだったんだなと改めてアメリカ社会の複雑さを感じさせる作品でした。
映画とはいえホワイトハウスの舞台裏や給仕係視点からの描画は面白かったですね。
ああ、そんな感じなんだなぁと思わせるところがいくつも出てきます。
ひとつ自分の中でも落ち着いたかも。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、映画というより歴史的な描画も含めてアメリカの近代史のわかる作品でしたね。
人種差別問題や黒人社会の問題やアメリカ政治の仕組みなど自国もよく分かっていないのにアメリカのことなんてなんとなくしか分かっていなかったのですが、前回観た「42」や本作を観ることでアメリカの人種問題や南北戦争などの背景なども自分になりに分かった風には感じれるようにはなりましたね。
映画って娯楽としてだけでなくこういう違う楽しみかたもあるんだなと思わせてくれる作品です。
またひとつ「アメリカ」を知ったような気がします。
観てよかったなと思える作品でした。