こんにちは、こーんです。
芸術の秋ですがいかがお過ごしでしょうか?
秋の夜長はバーボンと映画に限ります。
さて、いまわたしは町山智浩さんの新しい著書「今のアメリカがわかる映画100本」を読みながら映画を観るのが楽しみの1つになっています。
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100本も紹介されているので全部を観るのは大変ではありますが、そのまえに観るか観ないかはHuluかAmazonプライムで観れる作品かどうかにもよるので探すのも大変だったります。
前回の「グラン・トリノ」に続き今回は「プレシャス」鑑賞しました。
泣けた泣けた。やるせない気持ち。なんなんだこれ?
もうね。
やってらんねーって気持ちになります。
ほんと。
まったく映画と関係ないけど隣国の問題とか戦争とか貧困生活と戦うのに比べたら大したことないと思えてくる。
自分にとって理不尽なすべてのことに腹が立つというか日常を投げ出したくなるような、そんなやりきれない気持ちにさせる映画でした。
なんだろう、もっとも身近である家族に虐待されるってどんな気持ちなんでしょうね。
まぁもちろん戦争はこの映画には関係ないのですが、人間ってなんてクズなんだろう。
そして愛情とはなんて素晴らしいんだろうと色々と考えさせられる作品でしたね。
いやー観る前からなんか重いなとは感じていたのですが超重かったです。
最後は少し救われた気持ちにはなりますがこういう現実が世の中にはあるんだと思うと悲しい話でした。
そして最後は…。
プレシャスは女の子。
舞台は1987年のニューヨーク ハーレム地区。
プレシャスは貧困者用の集合住宅に住む16歳の黒人の女の子。
父親から性的虐待を受けるはお母さんからは暴力を振るわれるはとにかく酷いんです。
のっけからですよ。
最後まで観れるかなぁと不安になりました。
ホラー映画は見るくせにですよ。
悲しい話は苦手なんですね。
プレシャスはとても太ってるですね。
生活保護で暮らしているのでヘルシーなものが食べられないからというのも理由ですが容姿にもとてもコンプレックスをもっているんです。
家では暴力を受けるし友達もいない。
勉強に興味を持っているけどロクに働かない母親には勉強なんて何の役にも立たないよと罵られる。
普通なら精神がやられますよこれだけの仕打ちを受ければ。
生きる強さ。自分とは何なのか考えさせられる。
プレシャスのすごいところは夢を見ること。
綺麗な自分をいつも想像しているし、楽しいことを思い浮かべては空想の世界ではあるけど希望を捨てていないところ。
ちゃんと自分で逃げる場所をもっていることですね。
それがすごく女の子らしくて可愛らしい。
戦争映画でもありますね。
いつか平和が訪れたらあんなことやこんなことがしてみたい。
いつか自分の夢をかなえたい。
しかしプレシャスには将来も全く見えないし考える能力もありません。
観ているほうが自分のことのように絶望的な気持ちになってきます。
だけどちゃんと自分をもっている。
決して自信も希望もないけど悩みながら考えているすがたに応援したくなるんですね。
2人目の子どもが運命を変えた。
父親からの性的虐待を受けたことで子どもがひとりいたんですね。
ダウン症でおばあちゃんに預けられてるんです。
プレシャスの母親は管理能力がないので子どもの面倒は見れないですし、むしろプレシャスが食事を作ったり見回りの世話をされられたりしてるんです。
父親は出て行ってとっくにいないのですが実はプレシャスのお腹には2人目の子どもがいたのでした。
その子が産まれたことで事態が急変していきます。
母親の嫉妬をかって大げんかのすえ家を飛び出すことに。
プレシャスですら危ないのに赤ちゃんの命もありますからね。
路頭に迷いそうなプレシャスを退学して新たに通い始めた落ちこぼれを集めた慈善団体の学校の先生が助けてくれたり、まわりの生徒も助けてくれました。
少しずつプレシャスの周りにも家族以外の輪ができていくんです。
プレシャスの笑顔が観れるとちょっとだけ救われたような気持ちになります。
人は人に優しくしてあげられるのか。
プレシャスが出て行ってしまったことで母親の生活保護が打ち切られそうになりますが、ソーシャルワーカーにことの成り行きや事情を全て話せと迫られます。
母親は家庭内暴力があったことや父親を子どもに奪われた怒りからすさんでいった生活について説明しますが、全て自分が1番不幸であるとアピールします。
だってそうでしょう?
わたしはみじめ。
だからといって娘に暴力を振ったり育児放棄をしていいのでしょうか。
愛情を与えずして愛されるはずもなくいつしか子どもにも子どもが出来て母親では無くなっていまいただのひとりの無職の中年女性となるわけです。
まあ原因となる父親はほぼ出てきません。
互いに助け合っていけなかったふたり。
とっても悲しいですね。
いろいろあります。
麻薬や貧困、家庭内暴力や性的虐待。生活保護。
高カロリーな食事による肥満。
字も読めないほどの学力。
とにかく負の連鎖なんですね。
この中で人は、自分は人に優しくなれるだろうか。
考えされられます。
昔の話じゃない。
舞台は1987年ですが貧困の問題はいまも変わらないそうです。
ハーレムですよ。
名前ぐらい聞いたことありますね。
ニューヨークですよ。
どこらの片田舎ではなく世界的の中心といってもいいほどの場所で貧困問題や人種、麻薬の問題でプレシャスのような貧困から抜け出せない女の子がいまでも居るということです。
テレビや映画やバラエティなど綺麗な一面しか見せませんよね。
スポンサー企業に悪影響が及んではいけませんからね。
きわめて作られた現実を見せられているのかなと。
プレシャスを見ながら彼女たちこそ現実なんだなと考えさせられる思いでした。
最後に待っているものは。
母親から家を追い出されるも子どもを連れて強く生きていく決心をします。
ダウン症の長女も連れて。
2人の子どもを抱きかかえて歩き出します。
あれ、私たちが観ていたのはまだまだあどけないプレシャスではありませんでしたか。
まだ母親とは決していえないプレシャスですが自分が愛情を注ぐべき存在に自然と母親の顔になっていくそんな気がしました。
プレシャスなら母親のようにはならず、たっぷりの愛情で2人を育てていったと思います。
もちろん誰にも分からないことですが。
悲しさのなかにも清々しさがあった。
とても重い映画でしたが観ているうちにプレシャスの魅力に惹かれていくのと、味方したくなる気持ちで自分の気持ちが変化していきました。
最後は清々しい気持ちで終われたので良かったです。
決してハッピーエンドではなくても。
自分も救われた気がしました。
いい映画だったなあ。
オトンは思った。
映画にはマライヤキャリーやレニークラヴィッツがでてきます。
おそらく言われないと気がつかないです。
ノーメイクだったり。
この酷い母親役もアメリカでは有名な番組を持つコメディアンで大物タレント揃いなんですね。
それ以上にストーリーや演出のインパクトのほうが大きくて逆に大物がかすんで見えるぐらいで良かったです。
日本では撮れないと思えるアメリカ社会の闇を描いた感動作です。
いい映画でした。
良かったら見てみてくださいね。
では!
(こ)