こんにちは、こーんです。
NHKの「プロフェッショナルの流儀」や「情熱大陸」などで第一線の方々のお仕事を見るのが好きです。
先日行われたアカデミー賞はいろいろ話題がありましたが日本人ではじめてメークアップ&ヘアスタイリスト賞を取った辻一弘さん気になりましたよね。
アカデミー賞の授賞式前に日本領事館で行われたスピーチが興味深かったです。
最初のはじまり
学生時代から美術にセンスに秀でていた辻さん。
高校生の頃に一枚の板からダンボールとフンコロガシを掘り出したり類まれな才能はすでにこの時からあったんですね。
そして、スターウォーズに影響を受けて特殊メイクの世界を目指した辻さん。高校を卒業する頃にはしっかりとその憧れを持っていたそうです。
そして特殊メイクの第一人者であるディック・スミス氏に手紙を書きます。
もうそこからしてすごい。
特殊メイクの道に進みたいがどうして良いのかわからない。だから第一人者に聞いてみるコレですよ。
師の元へ極東の国から手紙が来るわけです。
しかし、特殊メイクを教える学び舎なんてありませんから独学しなさいといわれます。
ある意味道が無いわけですが逆に学べることは自ら研究して掴みなさいという第一人者にとっても確立した世界ではないので絵画のようにイマジネーションを自分で形にできるように努力しなさいということかと。
そうしてコンタクトが続くなか映画の特殊効果監督の仕事で来日したディック・スミス氏と会うことができたそうです。
そこからアシスタント的なことから渡米のきっかけを掴んで映画の仕事に携われるようになったと。
特殊メイクを目指す若者がどのぐらいいたのか想像がつきませんが、辻さんの強い想いと行動力が新しい道を切り拓いたんですね。
壁にぶつかる
様々な映画作品への参加で映画業界で力をつけていかれるのですがご本人はだんだんと満たされない自分に疑問を抱くようになり、映画業界から去り現代美術の世界へと活動の拠点をかえてしまいます。
スターウォーズも何でも今の映画技術はCGの世界ですからね。CGといえばスターウォーズでいえばジャージャー・ビンクスなんかそうでしたね。
特殊メイクアップアーティストからみると、映画の特殊メイクはコンピューターによるCGやSFXのに取って代わるようになりましたし、グリーンスクリーンの前で役者は芝居をしメイクはCGで表現されるは面白くないと思ったと思います。
観るほうもCGはつまらないですよね。
もうすごく技術が進んでいるからホンモノそっくりなのは分かるんでしけど映画を観ていても特殊効果を見せられてるだけでストーリーに感情移入できない作品も結構ありました。
わたしはCGはすごいと思うけど好きではないですね。
そして、辻さんは現代美術の世界で人物の頭部制作をされます。
ああ、そのまえに最初スピーチで自らリンカーンの特殊メイクをされていましたが、流石にリンカーンのモノマネをしている芸人のような不自然なリンカーンでしたよね。
それが磨き込んだ辻さんの造形技術はこんなレベルにまで到達します。
こんなことができる人いるのにもビックリしますが世界に2人と居ないだろうなとも思います。
技術と芸術の両面から圧倒されますよね。
すげぇ〜
頭部模型のクオリティもすごい。
本物より本物らしくデフォルメされてます。
アンディ・ウォーホールだってこんなにリアルに蘇ります。
本人が生きていたら絶対喜んでるよなぁ。リアルなんだけどポップですよね。
ステキだなぁ。
夢のつづき
そして映画業界から距離を置いていた辻さんにご存知ゲイリー・オールドマンからオファーが届きます。
ロスのご自宅も互いに近いそうですが、猿の惑星の特殊メイクで魅せられたその技術で新作「Darkest Night」でゲーリーをウィストン・チャーチルに似せるメークアップの依頼が。
それは人をCGで描くのではなく特殊メイクの技術と役者の演技で魅せるというものでした。
本来お芝居てこうですよね。
衣装やメークアップで見た目の魅力と役者の声や仕草で表現される芝居の芸術。
結果アカデミー賞を両者とも獲るわけですがもちろん運もあるとおもいます。
時代やその他の作品であったり全てが味方したからこその結果。
それが今だったと。
何となく映画業界のメークアップアーティストの仕事に疑問を持たれれて離れていた映画の現場。
それがめぐり合わせと辻さんの類まれな才能が再び夢のつづきに引き寄せたのかもしれませんね。
こんなことがあるから人生って素晴らしいですし、何かあるのかは分からないですよね。
もちろん何もしなければ始まらないし、近道も遠回りもないと思います。
とても運命的で素晴らしいなと思いました。
辻さんにとっては一時の映画作品への参加だったかもしれませんが、特殊メイクそして映画の素晴らしさを世に知らしめた功績は凄いと思います。
これからの活躍に目が離せずにいられません。
また自分もがんばろうと思わせるエピソードでした。
映画って本当にいいですね。