こんにちは、こーんです。
町山智浩さんの著書「今のアメリカを知る映画100本」を読みながらHuluやAmazonプライム・ビデオから見放題で観られる作品をチョイスしてます。
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今回はフリーのビデオジャーナリストが主人公の「ナイトクローラー」を鑑賞しました。
主人公はコソドロ
なんだか違和感のある主人公役はジェイク・ジレンホールでした。
先日観た「エンド・オブ・ウォッチ」で制服警察官の役で主役だった人ですね。
警察官とうってかわってせこいドロボー役です。役者ですねぇ。まるで性格が違う役ですからね。
ビデオを回すのが趣味みたいなのはどっちも同じでしたけど…
主人公は定職につかず盗品を質屋に売って生活しているコソドロ。
就職氷河期世代なんでしょうか、失業率の高かったアメリカを象徴しているのか学校へ行かずなんでもインターネットから得た知識で物事をとらえていく地頭ゼロ人間なんですね。
そのくせプライドが高い。
盗品の下取り先に
「おれを雇わないか?」
「泥棒を雇う気は無い」
と言われる始末。
まともに雇って自転車ドロボーなどしながら生活しているそんな役です。
野次馬がビデオジャーナリストに
そんなある日、事故現場に遭遇します。
野次馬で現場をみているとやがてビデオカメラを抱えた2人組がやってきて現場の撮影をはじめます。
聞けばそれをテレビ局に売り込むのが彼らの生業。
まったく働き口が見つからない主人公はさっそく盗品を売ってビデオカメラと無線傍受機を手に入れフリーのビデオジャーナリストとしてデビューすることになるのです。
フリーランスですから勝手に名乗ればそれで出来上がり。不思議な世界ですが買い手がいれば何でも売れる時代。
テレビ局はライバルとのしのぎを削るため特ダネとセンセーショナルな映像をビデオジャーナリストたちから買うのです。
ビデオジャーナリストとは聞こえはいいですが、人が事故や事件で苦しんでいる現場をプライバシーも関係なくズカズカとカメラに収めていくアコギな商売です。
主人公は野次馬根性と事件現場の緊迫感、そしてそれらを成果として対価を得られるこの仕事に誰よりもハマり、ちょっと異常とも思える才能で手柄を立てていきます。
話としてはクソである
映画のストーリーとしてはとても胸くそ悪くなる映画で前回の「エンド・オブ・ウォッチ」といい、この役者の作品てどこかそういうクセが強いので作品ばかりなんだなぁと受け入れられない自分がいたりします。
今のYoutubeなども過激な映像や表現を好む傾向にあるのがそれを求める視聴者が問題であるという点について理解している視聴者は少ないと思います。
怖いもの見たさやヤバイもの見たさが人のプライバシーを奪い過激な表現も需要に変えてしまう怖いことです。
ああ、わたしがクソというのは決して作品が悪いわけではありませんので悪しからず。
クソと思わせる感情を逆なでしてくる映画だなという意味です。
人の醜さを感じるのと悪いことに頭が使える人は怖いものです。
ジャーナリズムなのかノンフィクションなのか
ビデオカメラの性能が良くなり今ではいろんな投稿ビデオで番組が作られる時代です。
湾岸戦争あたりから戦場ですらエンタメ化された印象があるわけですが透明性や真実を伝えるということは大切なことですが時にそれは人を変えてしまったり、過剰な結果や人の人生を台無しにしてしまう問題を生んでしまうことでもあります。
現実に目を背けるのもどうかと思うわけですが、何でも映像で伝えられる現代は怖い時代だなと感じます。
こういうビデオジャーナリストが生まれたのもそういう背景があってのこと。
映画というより今のアメリカを知るといったうえでも感慨深い作品でした。
ご参考までに。
ではでは~